So-net無料ブログ作成
検索選択

ファンタジー世界の居住性 衣類篇 [ファンタジー世界考察]

 本来なら「ファンタジー世界の衣類」とか「ファンタジー世界の布地」という記事を書きたいところなのだが、調査しようと思うとなかなか面倒なので今日は概論的な、いい加減な感想を書くつもりしかないのでこのタイトルにした。


 ファンタジー世界になぞ暮らしたくないシリーズの衣料品篇である。

 ファンタジー世界というのは食事もまずければトイレも汚いしガラス窓もないと書いたが、衣類事情もひどいものであった。

 まず当たり前だが合成繊維が存在しない。ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン。石油化学も存在しないのに存在するわけがない。男性諸君にとって女性の黒タイツやオーバーニーソックスは性的にとても好ましいものでファンタジー世界でも皆想像逞しくしているが、ナイロン生地は存在しないのである。まあ、といっても、啓蒙時代の王侯はピタピタのタイツを履いていたのでそこはなんとかなるかもしれない。しかし水着はどうあっても難しい。現代人の想像では水着はナイロン一択である。頑張ってファンタジー世界でも水着を着せようと苦心惨憺……などせずファンタジー世界にバンバン水着を登場させているが(なにせ水着ガチャは金が集まる)、そんなもの存在しようがない。そもそも中世以前の世界で水遊びするなら全裸が基本である。それが当然の常識なのである。
 話は大幅にそれたが、当然ながらポリエステルのサラサラ感などファンタジー世界に存在しないのである。

 では話を天然繊維に限ったとしよう。

 まず綿、木綿が中世ヨーロッパには存在しなかった。今これを見ている諸君も木綿の下着なり肌着なり身にまとっている可能性は高かろう。だが中世ヨーロッパに木綿は存在しない。木綿すら存在しない。
 これは、一つには単純に原産地と栽培地の問題である。綿の原産はアメリカ大陸とインド亜大陸であった。中世ヨーロッパの住民は綿の存在自体知らなかった。インドから伝聞された綿の「伝説」は大幅に脚色されたものだった。即ち、綿生地がウールと似ていたため、ヨーロッパ人たちは「植物」の「ウール」、「木に生える羊」だと思ったのである。これが伝説のスキタイの羊、韃靼の羊、リコポディウム、あるいはプランタ・タルタリカ・バロメッツことバロメッツである。
 想像がつくだろうか。木綿の下着や肌着がないのである。といっても想像しにくいかもしれないが。ヨーロッパ人は基本的にウールの服しか持っていなかった。自らの裸体に、なんでもいいからウールの衣類を下着なしで直に身にまとうことを想像するといい。そう、そもそも下着や肌着も存在しなかった。Skyrimで自キャラを全裸にすると下着みたいなのをまとっているが、あれは全裸にさせないための法的配慮である。ともかく、下着なしでウールの衣類を裸の上に身にまとうことを想像することである。ファンタジー世界が実に居心地悪いか想像できる。

 といっても、木綿の問題はなんとかなるかもしれない。というのは、木綿の原産地やファンタジー世界の気候を適当に調整すればそのファンタジー世界で木綿が生産されていてもおかしくはない。田中芳樹がジャガイモを導入した手間より手っ取り早いかもしれない。
 あるいは、それこそバロメッツが伝承どおり存在してもいいのである。そのほうがファンタジー世界にふさわしくも思える。いや、だがファンタジー世界とはいえ「驚異」がそれほど日常化してはいささか興ざめだろうか。

 実のところこの件の解決は比較的容易にも思える。なんなら、木綿や絹を超えた万能繊維をオリジナルでこさえればすべて解決する。名前とかそういうのは適当につけておけばいい。植物繊維でも動物繊維でもなんでもかまわない。
 下着だってそうである。別に下着の有無がどれだけ文化的差異に影響を及ぼすか。中世ヨーロッパに下着が普及していたとしても封建制度は崩壊しないかもしれない。

 トイレにしてもそういう面はあって、たとえばモヘンジョダロにだって下水はあったのだから、中世ヨーロッパファンタジー世界の都市に下水が普及していてもいいのである。
 ただ、万能繊維や下水の普及した世界ではペストのような伝染病は減るかもしれない。そうなると、『銃・病原菌・鉄』などという書名が存在するくらいだからなにも無視はできないかもしれないが。

 ただやはりそれにも限界はあって、トイレはよくてもトイレットペーパーは存在させるのがいささか面倒である。板ガラスもである。砂糖なら木綿と同じくごまかしはきくかもしれない。だが霜降り牛肉などはほぼほぼ存在しない。まあヨーロッパ人は赤身の方が好きだけれど。

 だいたい、そんな万能繊維のような都合のいいものがほしいかどうかというのもある。なんでも快適なファンタジー世界というのも、いささか味気ないようにも思えるのだ。


 ファンタジー世界の居住性というのは、あるいは工夫すればなんとでもなるものかもしれない。だが世界の整合性は常に考える必要はあるだろうし、そもそもそんなファンタジー世界が望ましいのかどうか、そこまで考える必要はあるかもしれない。
nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:ファッション

nice! 0

コメント 2

小五郎

リアル路線かオリジナルのマテリアルがバンバン登場するまさしくファンタジー(幻想)か・・・作家の描きたいものと読者の需要の相性次第かもしれませんねぇ。
by 小五郎 (2017-08-20 23:02) 

枸櫞

オリジナルでマテリアルをほいほい出すこと自体はあまり勧めませんけれどね。
設定を考えるのも面倒ですし、「それらしく」見せるのにも工夫が要りますので。
by 枸櫞 (2017-08-21 22:21) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。