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ファンタジー世界のふわふわのベッド [ファンタジー世界考察]

 いやまあそんなものはなかったといういつもの話であるが。


 だいたい現代人が考えるベッドふわふわとかいうのはコイルばねを仕込んだか分厚いウレタンを詰め込んだマットレスのおかげである。
 中世ヨーロッパにコイルばねもウレタンもありはしない。
 ばねについては一文書くと面白そうだが長くなるので今日はやめておく。

 布団には綿が詰まっていることは、中世ヨーロッパではありえない。前も書いたように綿はヨーロッパに到達していなかった。羽毛、いわゆるダウンはあっただろうから、王侯貴族の布団にはそんなものがたっぷり詰め込まれていたかもしれない。

 では中世ヨーロッパのベッドには何が敷かれていたか。

 藁である。

 中世ヨーロッパの住民は藁が好きだった……ということはなかっただろうが。利用可能な「柔らかなもの」が藁しかなかった。

 ベッドには当然藁である。王侯貴族のベッドであっても、マットレスの代わりに頑張って藁を詰めて柔らかくしようとした。庶民のベッドなどは悲しい状態であったことは想像がつくというものだ。ペタペタである。ファンタジーの冒険者などは宿のベッドを恋しがったりするが、実態はそんなにいいものではなかった。単に地べたで野営するのに比べたらよかったという程度である。いや、そもそも人間の主観とはそういうものである。生まれた時から農奴であれば農奴としての貧しい暮らしにも幸せを若干は見いだせるだろう。日本語版ウィキペディアの農奴の項目には農奴は泣きながらまずい飯を食っていたなどと書いてあるが、そんな悲惨しかないような生活を人間は送れない。農奴であっても少しは楽しみもあったであろう。少しは、であるが。もっともその出典の日本人が書いた本は何か思想のバイアスがかかっているようであるが。閑話休題。
 ともかく、ファンタジー世界の居住性というものは、そこで生まれついたものと、現代人の主観とでは大幅に異なる。その辺の男子高校生がファンタジー世界に異世界転生したところで苦痛しかなかろう。とはいっても一ヶ月も暮せばまずい飯にも寒い家にも慣れるだろうし、若ければそれくらいの適応性はあるだろう。ただ、実際にそんな描写が異世界転生ものとやらに存在するのかは知らない。

 話は戻るが、中世ヨーロッパには絨毯というものもなかったようである。農奴だとかいった貧民の家に絨毯がなかったのはもちろんだが、王侯貴族の居城であっても絨毯はなかった。
 ではなにが敷いてあったかといえば当然藁である。絨毯の代わりに藁を敷いていた。適当に汚くなったりしたら捨てて新しい藁を敷いた。

 だいたい、貧民は下手したら家が竪穴式住居である。家に床すら存在しない。

 ニーダーザクセンの冬は地面に指を挿れても凍って堅くて入らないそうである。

 ナンパな男子高校生なんぞが異世界転生したところで凍死しかねない。


 中世ヨーロッパっぽいアイテムとしてタペストリーというものがある。壁にかける絵柄のある織物である。最近では二次元の萌えキャラがプリントされて壁を飾っているが。あれはイスラーム世界から移入された絨毯を、いざヨーロッパ世界に持ち込んだはいいが、土足で踏むのがもったいないから壁にかけてみたものである。床には藁を敷いて我慢した。石の壁であるから、布を垂らしておくだけでなかなかに断熱保温効果があったのである。フランス王国などでは流行して、王はゴブランという職人にこれを作らせた。なのでタペストリーはゴブラン織とも呼ばれている。
 しかし壁にかけられた分厚い布は鼠の格好のすみかとなり、鼠を媒介とした黒死病がヨーロッパに蔓延する一因ともなった。


 別にファンタジー世界に絨毯があっても不都合はなかろうし、中世も中盤になれば竪穴式住居も姿を消しはじめた。
 だから別に中世ヨーロッパ世界の居住性を完全にファンタジー世界にあてはめる必要はないのである。

 だが、だからといってそれを無視することもできない。
 だいたい、ファンタジー世界ならご都合主義で万能穀物とか万能繊維とか捏造すればいいとか書いたが、そんなものはそれなりの裏付けとなる設定や描写をしなければリアリティも得られず浮いただけの存在となりかねない。
 最近のファンタジー世界は安くなったのでそれでも通用するのかもしれないが。
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小五郎

ブログを読んでいるうち、ここのファンタジー考察に書いてあることをまとめてぶちこんだお話を読んでみたくなった・・・
あと、リアル路線のお話を書こうとしても、人はどこかしら理想というか願望がこういった細かい所に出て来てしまうのかなぁとか思ったり。
by 小五郎 (2017-08-24 00:29) 

枸櫞

そうですね、そもそも本来は私が小説の一本も書けというのが筋というものです。
一応用意というか準備はしていますが。
実のところこの問題は適度なところで手を緩める必要があるのは実際のところというべきなのです。
このブログではあまり手を緩めないことを主眼においていますが、それは現実的ではないことはわかっています。
by 枸櫞 (2017-08-25 23:11) 

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