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CardWirthシナリオ所感「黄昏の案山子(スケアクロウ)」 [CardWirthシナリオ所感]

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タイトル:黄昏の案山子(スケアクロウ)
作者:昇進
入手先:多分Guild

 やりたいことはわかるけれど完成度が特別高くないシナリオ。

 頑張って中世ヨーロッパの陰惨な雰囲気を出そうとしていた努力は見られる。
 とはいえ、そこまでものになっていない。テキストが今一歩及んでいないのもあるが、どうにも、陰惨さが絵空事のように思える。空想して作ってみた陰惨さ、といった感じである。

 ネタバレテキストに書いてあるが、ワラキア公ヴラド3世を元ネタにしている。しかし残念ながら全然そこに至っていない。

 だいたい、中世ヨーロッパでは串刺し刑は普通であった。どこでもしていた。その程度の陰惨さは中世ヨーロッパでは日常風景であり、特筆すべきなにものでもない。
 ヴラド3世が「串刺し公(ツェペシュ)」とまでオスマン帝国に畏れられたのは、単純にその量の問題であった。千人単位万人単位であったから伝説とまでなったのである。繰り返すが串刺し刑自体はよくある刑罰の一つに過ぎなかった。ポピュラーな刑罰だった。

 だいたい、作中の串刺しも甘すぎるのである。身ぐるみを剥ぎ取って串刺しにすることで残虐さを描写しようとしているのだが、普通のことであり、特別それを強調されてもなんということもない。そもそも鎧は剥ぎ取らないと串も刺せない。
 子供を串刺しにするのは多少残虐さの演出に役立っているが、そこまで強烈にはなっていない。本朝でも浅井長政の子女だったか羽柴秀次の小姓だったか串刺しで殺されている。

 串刺し刑自体が、特に現代の基準に照らし合わせて残虐な刑罰だったのは確かである。ちゃんとやる場合は尻穴や膣口、あるいは男の場合会陰部を切開して、そこから身体を貫くように串に刺す。しかも鉄の串などではなく木であるから、一気に貫通するわけでもなく、ちょっとずつ刺さっていくのだから苦痛はひどいものであっただろう。もっとも、ヴラド3世のように大量に処刑する場合は面倒なので心臓を刺して晒すだけだったらしい。
 しかしまあそんな刑罰は中世ヨーロッパ、というか洋の東西を問わずよくあることであった。中世ヨーロッパなら、他にも牛馬で四肢を引き裂いたり、皮を剥いだりと多様であった。
 無論これらも当時から残虐な処刑と認識されていた。王への大逆罪は特に牛馬で四肢を割くなどした。オスマン帝国が当時ヴェネツィア共和国領であったキプロスの首邑ファマグスタを陥落させた際には、ヴェネツィアの総督は首を刎ねられた上に皮を剥がれた(順序は逆かもしれない)。剥いだ皮をつなぎ合わせて藁を詰めて、更に首をつけて晒し者にされたのだが、しかしこれはキリスト教徒たちの怒りを買った。お陰で、当時ヴェネツィア共和国の策謀でキプロス救援のため準備されていたキリスト教連合軍は、その司令官アウストリア公ドン・フアンや教皇ピウス5世もやる気満々になりレパントの海戦という決戦に及ぶことになった。主力の海軍と金を提供したスペイン王フェリペ2世は戦わせるつもりがなかったのであるが。

 話はそれたが、ともかく中世ヨーロッパでも串刺しだの牛馬裂きだの皮剥ぎは、残虐とは思われていたが、それは当時では普通だった。つまり中世ヨーロッパ世界において残虐さとは日常であった。
 なので、今更串刺し刑自体は特別残虐ではない。印象づけるにはヴラド3世のように圧倒的な量が必要なのである。

 とても話がそれている。

 あと、作中には、カラスを殺してそれを畑に晒したら、カラスが怖くなって近づかなくなった、というエピソードが挿入されているものの、それほど納得できる話とも思えない。想像の限りだとカラスがそんな行動をすると思えない。

 なお、シナリオのメインの行動はリドルとバトルが一回ずつであるのだが、当初リドルのほうにミスがあったようである。リドルは、よくある、四人が並んでいて一人だけ嘘をついているというアレである。私はリドルが根本的に面倒なのでネタバレテキストを見たが。リドルというのは頭を使えば解けるのだがいまいち面倒である。そして私はそこに楽しみを見いだせないらしい。


 結局、ここで散々リアリティだのリアリズムだのを強調しているのは、こういった描写の限界について指摘したいからである。
 CardWirthは、実際、プロがシナリオを作ったわけではなく、素人のファンが書いたシナリオにすぎない。中にはラノベ作家やシナリオライターをするに至った作者もいるのだろうが。
 おそらく一般的に編集部はこのような稚拙さは許すまい。とはいえそれも程度問題なのかもしれないし、私のようにプロでもないアマチュアにとっては(多少の金銭をもらって商業ベースで書いた経験はあるが)課題となることと思える。
 プロの作品であっても、車の窓ガラス一枚からリアリティは崩れるのである。


 ちなみに久しぶりにCardWirthの記事を書いたのは、CardWirth自体久しぶりに起動したからである。なにせパソコンの調子がとても悪い。グラフィックドライバがすぐエラーを起こす。最新のグラフィックのゲーム、ニーアオートマタとかシヴィライゼーションVIやトータルウォー:ウォーハンマーは動くのに、ウィンドウをこまめに開いたり閉じたりするとすぐにグラフィックドライバのエラーが起きる。
 CardWirthはウィンドウを多量に開閉するのですぐにエラーが起きるのである。どうもメモリを増設してから発生しているのでメモリが原因らしいのだが、その増設したメモリを外しても発生する。グラフィックドライバが落ちるのだからグラフィックボードを換装すれば直るのだろうか。テセウスの船状態の私のPCでは問題の切り分けも容易ではない。
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小五郎

時代ですなぁ。
当時は普通のことでも後世では後世の基準で評価が決まってしまう、少し悲しいですねぇ。
今の基準を鵜呑みにせず、正しい(?)認識が必要ですね。
パソコンの修理頑張って下さい。
by 小五郎 (2017-08-28 22:38) 

枸櫞

歴史の中で評価が左右されるのは、現代の基準での認識の差異もありますが、個人や国家の意図も多いですね。
ヴラド3世についてはハンガリー王国のプロパガンダが大きいですし、
日本だと田沼意次の悪評などは後任の松平定信が意図的に政敵を貶めたものです。

パソコンはパーツの資金調達に頑張ります……
by 枸櫞 (2017-08-30 22:13) 

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