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ファンタジー世界の売れ行き [ファンタジー世界考察]

 先日の記事で、カラスの死骸を畑に放置したらカラスが寄ってこないことに疑義を呈したが、調べたところ実際にカラスの死骸や、カラスの死骸を模した案山子を畑に置いておくと、カラスは寄ってこないらしい。
 これは私の不明である……といえるかどうか。そもそも先述のシナリオはそういったところの説得力が弱くて心に訴えなかったように思える。


 さて。本題。

 Divinity Original Sinという割りとポピュラーなRPGをリリースしたゲームスタジオ、Larian StudioがサイトでRPGについてのアンケートをとっていたらしく、その調査結果をRPG Player Surveyと称して公開している
 なかなか面白い結果ではあるが、ただこのアンケートは同スタジオが自ゲームのプレイヤーを通じて呼びかけたものなので幾らかサンプルに偏りはありそうだ。つまり、このアンケートの結果で一番支持されている要素は、Divinity Original Sinの要素とだいたい一致している。
 とはいえアンケートとしての興味深さはある。

 まず最も支持されているジャンルは、コンピュータRPGとあり、次いでアクションRPGである。それらの次にストラテジーがそれなりの支持を集めている。一方でJRPGやMMORPG、Co-opゲームなどは支持が分かれている。コンピュータRPGとはなんぞという気もするが、要するにシングルプレイでアクション要素が薄くストラテジー要素もない、JRPGではないRPGのことらしい。
 JRPGというのはやはり国際的に見て一部のユーザーにしか支持されていないようである。そしてそれほど人々はマルチプレイを好かないということだろうか。

 RPGのカメラ、視点は見下ろし型が最も支持されており、一人称視点(ファーストパーソン)や三人称視点(サードパーソン)はそこまでの支持を集めていない。ただ、Divinity Original Sinというゲーム自体が見下ろし型なのであるが。

 RPGの構成要素で最も重要視されているのがストーリーである。それにキャラの育成が続く。バトルの戦術性、周回プレイ、宝集めなどはあまり重視されていない。クラフティングもいまいちである。協力プレイはもっと重視されていない。
 考えてみれば、スマホゲームでもFGOなどは、奈須きのこのストーリーと英霊育成(というかキャラ萌え)が重要なのであって、バトルも特別評価されてもいないし、協力プレイも面倒臭がられている。素材集めなどはうんざりされていそうだが。スマホゲームでやたら戦略的バトル(この造語は印象に訴えただけのかなり胡散臭いものである)を謳っているものがあるが、あまり重要視されていないのかもしれない。もっとも、奈須きのこのようなシナリオはそうそう誰でも書けないのだが。

 戦闘システムではターンバトルが好まれており、リアルタイムやポーズつきリアルタイムはそれらにやや劣る。この辺はどれくらい普遍的にそう思われているのか、やや疑問であるが。

 幾つか項目はあるが飛ばして。
 プレイヤーキャラクターはどのようなものがいいかという設問がある。一番支持されているのはカスタムキャラであった。用意されたキャラでプレイするのは、それに比べるとかなり支持が低い。これは興味深い。カスタムキャラは50%近い支持があるのに比べ、プリセットのキャラは15%程度しか支持がない。やはり、RPGというのは没入感が大切で、そのためにはプレイヤーキャラクターをいかにキャラメイクできるかというのが重要ということなのだろうか。

 また飛ばして。
 プレイヤーの性別は、男性が90%近い。女性は10%に満たない。これも興味深い。仔細は後述する。


 このアンケートで大きく差がついた項目として、後ろ二つが特に気を惹く。

 そもそもJRPGというか、日本でのRPGの歴史を考えると、ロールプレイとかキャラメイクという概念自体が薄いように思える。もちろんこれはコンピュータRPGが日本でのRPGの主導権を握っているからである。
 元来のRPGとは、日本でいうところのTRPGである。ちなみにTRPGは和製英語の一種である。日本のコンピュータベースのロールプレイングゲームにはロールプレイという概念が存在しないようにすら見受けられる。プリセットのよくありがちな熱血少年が勇者として世界を救う。そればかりである。多くのプレイヤーはプリセットの「勇者」で満足している。熱血少年勇者に自己を投影して没入できるのなら結構だが、そうではないのならロールプレイの性質も変わるし、ゲーム自体への没入を阻む可能性すらあるのだ。

 ではそれが何故広く許容されていたか。それはRPGのプレイヤー層が物語っている。つまり、少なくともパソコンでロールプレイングゲームをしている人間の多くが、男性であるということである。
 男性がメインのプレイヤーなら、熱血少年勇者を用意しておけば、大雑把にいってだいたいのユーザーがそれで許容してくれるだろう。女性や男性の一部、私のような女性化願望の強い男性などは違和感を感じるかもしれないが、はっきりいって少数派なので切り捨てても問題ないのである。

 振り返ると、日本のライトノベルの、RPG=ファンタジーの嚆矢としてロードス島戦記が存在しているのはいささか幸運であったのかもしれない。ロードス島戦記は元来、AD&Dのリプレイとして雑誌掲載されていたものである。著作権的に面倒であるために元がAD&Dであったことは半分なかったことにされている。といっても葬り去られたとかいうわけでもないが。なので、コンピュータRPG、ドラクエとFFの影響が圧倒的な日本のRPG=ファンタジーの根っこに「伝統的な」TRPGを接ぎ木することはできたのかもしれない。ちなみにロードス島戦記の世界はその後和製TRPGソード・ワールド(無印)となった。また、AD&Dは根っこをたどれば指環物語に行き着く。
 とはいえ日本のライトノベル黎明期を支えたもう一つの作品がスレイヤーズ! であった。これはどちらかというとコンピュータRPG的な発想が強いように思える。むしろ今のライトノベル=RPG=ファンタジーはこちらの影響のほうがまだ強いのかもしれない。

 その後、特にエニックスがドラクエをメタ化したかのような漫画を多く輩出させたことが、今の日本に蔓延るコンピュータRPGベースのファンタジー世界的想像力へと結実した一因となった。

 余談だが、最近のTRPGはすっかりクトゥルフの呼び声に支配されている。そもそもTRPGはコンピュータRPGの勢いに飲まれて、世紀が変わる頃には衰退していた。一度IRCのオンラインセッションを中心に盛り上がったが、結局地下水脈となりつつあった。そこで登場したのがクトゥルフであった。今ではニコ動やニャル子さんを起爆剤として大人気である。
 とはいえこうなるとCoCにあらずばTRPGにあらずとでもいえる状況も到来しているらしい。KPというのはCoCの特殊な概念であるのだが、すっかりGMというものは忘れ去られて、CoCしか知らない人間はTRPGといえば他のゲームでもKPというのだと思っているらしい。KPと称するのはCoCだけである。
 閑話休題。


 そもそも何故日本のRPG=ファンタジーは勇者なる少年が主人公であるものばかりなのか。勇者などというわけのわからぬ「職業」ではなくても、少年が主人公なのは何故か。
 それは売れ行きがいいからである。上掲のアンケートでも、RPGをやっているのは男性が圧倒的に多い。だからとりあえず少年主人公にしておけばだいたいのユーザーはそれで満足する。特にコンピュータベースの日本のRPG=ファンタジーならなおさらだ。キャラメイクなどに余計なリソースを割かなくて済むのだから。
 女性のある程度や、私のような特殊な男性はそれにあまり納得しないが、しかし少数にすぎないのだから、一蹴して済ませればよかったのだ。

 私などは実に特殊で、CardWirthのパーティ編成など見てもわかるように、私は女性としてファンタジーを遊びたいらしいのである。性別が選べるのなら、最新のスマホゲームに至るまでほぼ間違いなく女性を選択する。これは私の女性化願望の故だろう。まったくもって特殊事例であり、顧みられない。

 何故こうなったか。元々TRPGというホビーにしても、コンピュータというハードにしても、男の世界だったからである。ファンタジーの創生にはメアリー・シェリーなどとい女性もいたり、世界初のプログラマとされる人物が女性であったりもするが、どちらも男性社会の中で発達してきた。
 だが、女性の社会進出もあり、事態は変わった。いや、元々女性ユーザーは一定数存在した。MMORPGなども女性ユーザーは相当数いた。女性がプレイヤーの中核となっているゲームだって現行タイトルにはある。

 スマホの普及はこれに決定打を加えた。スマホゲームは、当初、男子学生やサラリーマンが通勤通学の暇つぶしにプレイするものと思われていた。だから多くのスマホゲームは男性主人公前提で作られているし、「萌え」をメインコンテンツとして準備された。
 だが実態は違った。スマホゲームのコアとなるユーザーは、特に金を落とす層は、暇を持て余した専業主婦と水商売のお姉さんであると明らかになってきた。いや、多数が女性を占めているか、具体的な数字はわからないが、相当数は明確に女性ユーザーであり、彼女らは可愛いものとして「萌え」を楽しんでいる。

 女性ユーザーと男性ユーザーの差異として、コンテンツが一方通行化することが挙げられる。つまり、女性ユーザーは男性向けコンテンツを楽しめるが、男性ユーザーは女性向けコンテンツを楽しめない。少年漫画を読む女性と少女漫画を読む男性の数はかなり異なる。男性はほぼほぼ少女漫画を読まない。男性はほとんどボーイズラブや乙女ゲームに手を付けない。だが女性は少年漫画も読むし、恋愛シミュレーションゲームもするし、なんならエロゲーだってする。そもそもエロゲーだってエロ漫画だって女性が絵を描いていることがかなりある。有名な女性エロゲー原画家やエロ漫画家はすぐにでも挙げられるだろう。

 最近は男性向けコンテンツでも女性ユーザーを意識したものも出てきた。主人公の男女を選択できるゲームも多くなってきた。「攻略対象」に少女だけではなく少年を加えたゲームもある。特に任天堂のような世界展開している企業は更なる配慮を求められる。即ちセクシャルマイノリティへの配慮である。同社のゲームで同性が恋人同士になれなかったり、また、明らかにレスビアンなキャラを薬を使って男性への愛に「矯正」させる場面などは国際的批判に晒された。
 こういった試みは当然、ポリティカル・コレクトネスの発達した海外の方が進んでいる。海外では同性が恋愛するのも当然である。
 一方で日本は特殊だろう。一部では同性愛がもてはやされる一方で敬遠されてもいる。ここでは細かく書くつもりはないが。

 しかしやはり日本のRPG=ファンタジーは男性前提で作られている。未だに男性主人公しか選べないゲームは多い。ガチャで出てくるのは美少女ばかりだ。問題がないのは、女性も女の子キャラの可愛さを楽しめるからである。逆に男性は男キャラがガチャから排出されても楽しめない。FGOなどは特殊な事例になるだろう。男の娘はまた別かもしれないが。

 ちなみに、個人的にこのことで役得を得られることもある。主人公が男女選べる場合、私は当然女性を選択するのだが、やはり根本的に、デフォルトとして、今の日本のゲームは男性がプレイする前提で作られている。
 だから、「女性主人公」の「相手」としても女の子ばかり出てくる。そう。百合である。この意味において日本のゲームは百合天国になるのである。
 といったところで、多くは大して描写がなされることもないのだが。
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コメント 4

小五郎

枸櫞さんのセクシャルマイノリティへの思い(?)・・・なんとなく伝わりました。日本は何て言うか厳格過ぎるというか・・・もう少しだけ寛容になってもいいんじゃないかな〜なんて思うことはありますねぇ。
ガチャからは少女ばかり・・・うーむ、そのゲームが初めから女性キャラしかいないならわかるのですが、自分が昔やっていた普通に男性キャラも出るようなゲームでも高レアがほとんど女性キャラだったりすることがありました。記事にあるような理由もあると思いますが、少しモヤモヤした記憶があります。
RPG主人公を女にして百合展開・・・自分は主人公は自分の性別(男)と合わせていましたが、その楽しみ方がありましたか・・・今度試そうかな・・・
by 小五郎 (2017-08-31 23:22) 

枸櫞

セクシャルマイノリティと私といっても私自身はセクシャルマイノリティではないですのでなんとも言えない部分もあります。
女性化願望だとかはTSFという形でそこそこ普及していますしね。
日本のセクシャルマイノリティへの態度は……長くなるのでまたどこかで述べますが。

男女混ぜたガチャだと女性優先なのはありますね。
たとえばFGOは女性ユーザとりこんでいるから目立ちませんが基本的に高レアリティに女性が多い、というより低レアリティが男性ばかりの気がします。
女性主人公で楽しむのは……どうでしょうね?
基本的には幾らか特殊な楽しみ方になる気はします。
百合が好きなら楽しめますが。
by 枸櫞 (2017-09-01 22:01) 

小五郎

百合視点で楽しむのが特殊なのは承知の上です(笑)
まあ、ストーリー的にドライ?な展開が多そうなのも承知の上・・・やはり百合専門?のゲームをやったほうが手っ取り早いか・・・
by 小五郎 (2017-09-01 23:05) 

枸櫞

うーん、そもそも百合専門のゲームはほとんどありませんからね。
百合漫画は専門誌もあるのに未だに。
選択型女性主人公はこの百合砂漠で数少ない百合成分の補給法なのです。
by 枸櫞 (2017-09-02 20:50) 

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