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ファンタジー世界の兜と帽子 [ファンタジー世界考察]

 前にファンタジー世界の衣料品はウールばかりだと書いたが、亜麻のことをすっかり忘れていた。日本では亜麻のことを麻布という。リネン、あるいはリンネルともいう。仔細はそのうちまとめたい。


 予告通り兜の話。

 現代の歩兵はほとんど防具をつけていない。銃弾や砲弾の破片に当たったら即死なので鎧をつけても動きを阻害するだけである。最近は胴体を防護するようになったが。しかしヘルメットだけはしている。弾丸、というよりはむしろ砲弾の破片から頭を防護するためである。
 かといってこれをもってヘルメット、つまり兜が重要であるといい切れるわけでもない。絶対君主や啓蒙主義の時代は、兜をかぶっていたのは胸甲騎兵(キュイラシエ)だけであった。中世まで遡っても、弓兵やパイク兵などは帽子で済ませることが多かったようである。ルネサンス期のマスケット兵なども薄い三角帽だけだ。歩兵が鉄兜をかぶるようになったのは第一次世界大戦になってからである。
 しかしながら、兜は人類史的にも重要な防具であり、軍事史ではじめて登場した防具は、盾と兜であった。

 ところが日本のファンタジーではあまりキャラは兜をかぶらない。
 何故だろうか。キャラがわからなくなるからである。わかりやすい。そんなことは誰でもご承知である。だがそれでもおかしいことではある。たまにそういったファンタジーで頭を強打されたり、吹き飛ばされて頭を打ち付けたり、頭から血を流したりしているが、それでも彼らは兜をかぶらない。
 再度いうが、もちろんキャラがわからなくなるからである。画像的要請である。兜をかぶっているのは、雑魚の兵士と、素性を隠した怪しげな人物だけである。兜はそういった記号とすらなっている。

 それに加えて彼らは帽子もかぶらない傾向が強い。
 前も書いたが、近代以前のヨーロッパ人は雨からしのぐための道具を帽子に頼っていた。傘は使われていなかった。雨が降っていなくても、基本的に帽子をかぶっていることが多い。防寒というのが最大の要請であったと思われる。
 ファンタジー世界を想像したとしても、そこでは帽子は活躍するはずである。冒険者などは、防寒、日よけ、それに何より頭の防護のために帽子を手放せなかったであろう。兜は一日中つけているのは大変かもしれない。だが帽子なら屋外でずっとかぶっていられる。
 東アジアはまた独自の理由が加わる。つまり、彼らの場合は帽子ではなく冠であったが、それは地位の象徴だったのである。無位無冠などと書くことがあるが、まさに冠は地位のある独立した男の象徴であった。冠のない男は、下手をしたら罪人ばかりであった。
 現代日本の感覚ではわからないほど、人類というのは頭に何かをかぶっていたのである。

 ではファンタジー世界では何故兜も帽子もつけないのか。

 それは上記の通りキャラがわからなくなるからである。何度もいうが。

 特に、女性キャラは何もかぶらないほうがいいだろう。一部の髪型、ポニーテールや三つ編みシニヨンなどは帽子や兜をかぶるために、いちいち髪を解かないといけない。なんて面倒な。書くのも面倒だし、絵を描くのも面倒だし、デザインも考えないといけない。3Dのポリゴンにしてみたら突き抜けてしまうではないか。
 ちなみに三つ編みシニヨンを結うには腰まで届くくらいの髪が必要である。オタク文化で最も有名な三つ編みシニヨンキャラの一人がFateシリーズのセイバーアルトリアだが、髪を解いてもたいして髪が長くない。しかしあんな長さでは三つ編みシニヨンは結えない。やってみればすぐわかるが。
 セイバーモードレッドなどは兜が一つのトレードマークとはなっている。しかしむしろ特殊さの強調であり、実用的に兜や帽子をかぶるキャラはあまりいない。
 下手したら、帽子も兜もモブキャラである象徴にすらなっている。女性キャラの軍人などは制帽すらかぶらない。

 なのでアイドルがうんこしないのと同じ理由でファンタジー世界の住人は兜も帽子もかぶらない。
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