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ファンタジー世界の鎧 [ファンタジー世界考察]

 最近抽象的な話かくだらない話しかしていないのでたまにはこのブログの本来の姿に立ち返ってみようと思った次第。
 アーマーと便宜的に呼んでいるが、アーマーは甲冑、鎧兜という意味なのでやや違うらしい。


クロースアーマー
 布鎧。それってただの服では、鎧として意味ないじゃん、などと思うのは早計というものである。極論に聞こえるだろうが全裸で戦うことを考えてみればいい。刃がかすっただけで血がドバアである。布鎧のありがたみがわかるであろう。実際、十分にしっかりした布鎧ならばなまくらな剣などであれば防禦力を発揮するだろう。
 ちなみに古代ギリシアのそのまた初期の兵士たちは実際に全裸で戦争をしていた。武装は槍と盾だけであった。全裸というのは全裸であり、ちんちんをふりふりさせながら戦争していたのである。時代が下ってもギリシアのホプリタイは布を幾重にも重ねた布鎧で武装していた。巨大な盾があるので防禦はそちらに頼っていた。中世ヨーロッパであっても、特に最前線にいない弓兵などは布鎧であった。
 また、ファンタジー世界ではしばしば魔法使いたちが布鎧、あるいはローブだけをまとった姿で活動する。ローブなどは布鎧の一種といえる。これはそのファンタジー世界の魔法の定義次第であり、もし魔法使いが布鎧しか身に着けられないのなら、それに見合った根拠、理屈を用意しなければならない。よくある日本のファンタジーのように、魔法使いが日本の坊主や陰陽師よろしくぶつぶつ呪文を唱えるだけならば彼らが重装甲の金属鎧をつけていてもなんの問題もあるまい。ローブである必然性などなにもないのだ。ソードワールド無印では、ソーサラーは複雑な身振りが必要だからクロースアーマーとソフトレザーアーマーしか身に着けられないのだが、複雑な身振りについて具体的にはなにも書いていない。同じ世界観のはずのロードス島戦記のアニメでは直立不動で坊主のようにぶつぶつと呪文をつぶやいているだけだから彼らがローブしか着られない必然性は何もない。この魔術の詠唱にあたって身振りを必要とするというのは、本来西洋の魔術的伝統と、舞踏との間に文化的関係があるという背景もある。ずっと前にも書いたけれど、ファンタジー世界のルーンマスターたちは魔法少女の変身シーンよろしく華麗なステップを決めている可能性もあるのだ。

パッデドアーマー
 亜麻布の間に綿をつめこんだ、キルティングの服は古代から中世に至るまで鎧として使われてきた。レパントの海戦でヴェネツィア共和国のある指揮官はこのキルティングの鎧を着ていた。船上の戦いであるから身軽な方がいいのだ。船上で重い鎧など身につけていたら、いざ海に落ちたらそのまま沈んでしまうこともありうる。実際には鎧をつけていても結構浮くものらしく、本朝でも壇ノ浦の合戦において平宗盛などは鎧をつけて入水したにもかかわらず、泳ぎがうまかったのもあって生き恥をさらすこととなった。
 ヴェネツィア共和国などのガレーの漕手は、戦時や海賊の襲撃ともなれば、服の上にかろうじて胸だけ覆うような四角い金属板をつけ、棍棒のような簡単な武器を持って戦闘に加わった。十字軍の折には、ピサやジェノヴァの船乗りたちがこのような武装で陸に上がり、ウトラメールの都市防衛に加わった。まあ彼らはキルティングの服というわけではなく普通の服に板金をつけただけであったが。
 こういった布鎧、キルティングの服などは他の鎧の下にも身につける。当然のことながら、金属鎧を素肌につける馬鹿はいない。そんなのはビキニアーマーのファンタジーだけだ。こういったいわゆる鎧下は、革や金属の摩擦から皮膚を守るというのもあるし、それに打撃、その衝撃を緩和するという防禦上の重要な役割もある。刃物だけが武器ではない。

ソフトレザーアーマー
 鞣した柔らかい革の鎧である。現代を生きる我々にも革のジャケットなどは目にする機会がある。布に比べれば強靭であり、軽い斬撃であれば十分防げるであろう。布以上に十分丈夫である。弓兵や野伏としばしば訳されるレンジャーなどはこれに頼ることになる。シーフに関しては、動きやすいとはいえ布には劣るので、隠密性を重視する彼らは布鎧を愛好するかもしれない。
 また、他の鎧の下に着込むのにもこういった革鎧は重宝するだろう。単独でも厚く重ねれば十分な防禦力がある。それでその上から部分的な金属鎧を身につけることもある。冒険者などといわれる戦士たちは、長期の徒歩行動や屋内、ダンジョンでの探索活動が必須である以上、金属鎧を嫌って革鎧に部分的な金属装甲を施すのが主流なのではなかろうか。

ハイドアーマー
 こちらはソフトレザーの亜種で、毛皮である。要するに毛皮を身にまとったものである。想像するに北方の蛮族が身につけていそうであり、実際アーサー王時代のブリテンなどではこういった鎧も見られたのだろう。ただ丈夫さはソフトレザーアーマーと変わらないし、毛がある分多少は防禦力がありそうである。防寒性もありそうだ。
 また、古代ローマなどでも、旗手などの一部の兵士は狼や豹などの肉食獣の毛皮を身に着けていた。これは肉食獣の口からちょうど顔を出す塩梅になっており、戦場における威圧や鼓舞の意味があった。

ハードレザーアーマー
 鞣した革をワックスなどで煮込んで堅くしたものを鎧にしたものである。防禦力も増して金属鎧よりも軽いだろうが、動きを阻害する。古代ローマの兵士や隊長が筋肉を模した造形のハードレザーアーマーをよくつけている。冒険者としても、多少動きにくいにしても、防禦力もあり、軽いのだから、人によってはこれを愛好するかもしれない。兵士としても、弓兵などはそれなりに動きやすいだろうから使われそうだし、防禦力もあるので前線の兵士でも古代ローマの一時期使われたようで、決して二線級の鎧ではない。

スタデッドレザーアーマー、スパイクドレザーアーマー
 革鎧に金属鋲をたくさんつけた鎧である。準金属鎧ともいえる。この金属鋲で多少なりとも防禦力を確保しようとしたもの。ソフトレザーに鋲をつけたものなら、あまり音も出さないだろうし、シーフが使うにはよさそうだ。
 簡単に作れる、つまり安いわりにそこそこの防禦力を期待できそうなので、駆け出しの冒険者、金のない冒険者、とおりすがりの雑魚山賊などが着ていそうである。そういう意味では冒険者にとって馴染みのありそうな鎧だ。

バフコート
 革を重ね着した鎧。上に胸甲をつけた。動きをあまり阻害しない。タクティクスオウガでなんかこんなデザインのユニットを見かけた気がする。ただこの鎧は重火器が一般化してから、マスケット兵や胸甲騎兵が使った。

リングアーマー
 革鎧に鉄の環を幾つも縫い付けたもの。スタデッドアーマーをちょっと発展させた感じである。鋲をつけただけよりは防禦性能はありそうだ。また、これもあまり音が出なさそうだし、シーフにも使えそうだが、鋲の鎧よりは動きにくそうである。それほどメジャーなものでもないようだが、安く簡単に作れるのでファンタジー世界で駆け出し冒険者の装備にはありそうだ。雑魚が着ていそうである。

スケイルアーマー
 革の下地に、鱗の形をした鉄片を何枚も隙間なく縫い付けたもの。金属で覆われるため、ここまでの鎧に比べるとかなり強靭な防禦力を誇る。しかしこの鎧は、鎖帷子などと比べても重くて動きにくい、縫い付けた部分が外れて鱗状の鉄片が外れやすい、ガシャガシャうるさいなど欠点も目立つし、見かけのメジャーさほどには、少なくとも西欧ではメジャーなものではなかった。ただ、作るのは他の金属鎧よりも簡単だ。

ラメラーアーマー
 日本語でいうなら小札鎧。小さな長方形の鉄片を布の下地に縫い付けた鎧。スケイルアーマーに比べると、小札を互いに複雑に縫い合わせるので剥がれにくい。多少の動きやすさも確保でき、防禦力もある。ガチャガチャうるさいけれどスケイルアーマーよりはあらゆる面でよかろう。ただ作るのはそこそこ手間がかかる。
 西欧ではあまり流行らなかったが、オリエント、ビザンツ、アジアの高原地帯、中華帝国などでは主流となった。日本の甲冑もラメラーアーマーである。

チェインメイル、メイル、ホーバーク
 いわゆる鎖帷子である。細かな鎖を結合させて鎧にしたもの。特に中世ヨーロッパでは主流の鎧となった。中世ヨーロッパといえば騎士でも兵士でもチェインメイルが多かっただろう。単純に数だけなら。十字軍戦士などもまだチェインメイルの方が主流の時代であった。
 メイルといえば基本的にはチェインメイルのことを指す。ホーバークという呼び名もある。スケイルメイルなどという言い方があるようだが、スケイルメイルといえば意味としてはチェインメイルに鱗状の鉄片をつけた鎧ということになる。プレートメイルも、チェインメイルの上に板金を取り付けた鎧という意味である。
 剣などの斬撃には極めて強い。しかし刺突や打撃には弱い。しかし弱いといっても他の鎧だってそこまで強いわけでもないし、SaGaシリーズでもあるまいし刺突攻撃で二倍のダメージとかそういうイメージは極端である。刺突はともかく、打撃に対してはメイルの下にキルティングの布を着込むなどして対応した。
 動きをあまり阻害しないという点も他の金属鎧と比べて大きなアドバンテージである。しかし重量がかなりのものになる。うるさいので隠密行動にはまったく向かない。ただ動きやすさという点では冒険者には愛用されそうである。動きやすいので、この上に更にプレートアーマーを重ねる場合もあった。また、特に十字軍で砂漠に行った時はそのままだと熱くなるし、また布に紋章などをプリントできるので、タバードなどと呼ばれるメイルの上に着る服もあった。

プレートアーマー
 我々が西洋の騎士が着ていると一番思いつきやすいだろう鎧。板金で全身を覆った鎧である。機能的にそれほど敢えて説明することもない気がする。ちなみにプレートアーマーといった場合、完全に板金で全身を覆った鎧のことを指すので、フルプレートアーマーとかフルプレートとかいった用語は存在しない。関節部分などは工夫されていたので意外と行動の自由はきいたという。一旦転んだり落馬したら自力では起き上がれないというようなことはなかった。しかし当然ながら簡単に立てるわけでもないので、歩兵の戦法としてはハルベルトやビル、グレイヴなどの鈎で転ばせたり馬から引きずり下ろすというのは有効であっただろう。
 基本的にオーダーメイドであるから、非常に高価な鎧であった。それでも中世後期には大量生産技術の確立もあり歩兵たちにプレートアーマーを着せることもできたようだ。もっとも、その直後には火器の発達により姿を消すのだが。
 当り前ながらこんなものを常時着ている冒険者などおるまい。
 プレートアーマーへの対抗策としては、打撃と刺突がある。刃が通じなくても、メイスやフレイルで強打すれば衝撃は板金の向こうにも通じて打ち身はもちろん骨だって粉砕できる。刺突については、板金の隙間を突くためのメイルピアスィングソードといった巨大な針みたいな剣も登場したが、しかし使いにくいし、隙間を突くのも面倒だろうし、こういった武器は主流とならず、とどめを刺す時などに使われた。ちなみにレイピアは金属鎧の消滅した後に登場した武器であるから、プレートアーマーの隙間を狙う用途はない。しかしクロスボウのような強力な弓になると、プレートアーマーすら貫くこともあった。ロングボウで射掛けるポドキンと呼ばれる重い鏃もプレートアーマーを貫いた。火器の発達でプレートアーマーは姿を消したとは書いたものの、実際のところクロスボウやロングボウもプレートアーマーに対してそれなりの有効性があった。しかし火器、長銃には素人でも簡単に扱いに習熟できるという利点があったため軍事史を変えたのである。火器の威力が最大の要因だったわけではない。ロングボウはワーテルローの戦いでも有効であっただろうとする歴史学者だっている。
 鎧の上からは、メイルと同じようにサーコートと呼ばれる、紋章などをプリントした服を着ていた。日光の熱対策という意味も同じである。冒険者たちだって、というか冒険者だからこそ、日射による熱対策は必要だろうから、タバードなりサーコートは必須であろう。
 実戦的なプレートアーマーの他にも、パレード用のパレードアーマーというものがあった。これは実戦には使われず、文字通りパレードの際に着たものである。象嵌を施したり、奇妙な、日本風にいえばかぶいたような派手なデザインもあった。また、馬上槍試合でもプレートアーマーは活躍した。馬上槍試合がプレートアーマーの発展を促した面もあるらしい。これも、特に兜などはデザインに工夫が凝らされた。ちなみにタクティクスオウガのドラグーンというジョブは蛙みたいな兜をかぶっているが、これは馬上槍試合専用の兜であり、馬上槍試合だと前傾姿勢なので前が見えるが、タクティクスオウガのように徒士では前が見えない。
 現代でもプレートアーマーはコスプレ的人気があり、プレートアーマーを着て模造刀で殴り合うというマイナーな競技が存在する。その競技を扱った漫画まで存在する。

ゴシックアーマー、フリューテッドアーマー、マクシミリアン式プレートアーマー
 これらはプレートアーマーの発展したものである。ゴシックアーマーは、板金に畝を作り、先端も尖ったようなデザインであったが、板金に畝を作るのは軽量化と強度増大の両方を狙ったものである。
 フリューテッドアーマー、あるいは制作を命じた時の神聖ローマ皇帝マクシミリアン帝の名をとってマクシミリアン式鎧と呼ばれたものは、板金に細かな筋を入れたものであり、これも軽量化と強度増大両方を狙ったものである。デザイン的にも洗練されている。
 しかしこれらはプレートアーマーももはや消滅するという時代に現れたものであった。

バンデッドメイルアーマー、スプリットメイル
 チェインメイルに板金を貼り付けた鎧である。これは東欧でよく見られた。わかる人が見ると東欧っぽいとわかるデザインである。

プレートメイルアーマー
 同じくチェインメイルに板金を貼り付けた、というよりはチェインメイルに胸甲や板金籠手などをつけたもの。過渡期的な存在だったらしい。見るとバンデッドメイルアーマーに比べて西欧っぽいデザインである。

コートオブプレート
  布や革の裏地に板金を貼り付けた鎧。作るのが簡単であり、防禦力も高く、そこそこ動きやすく、扱いやすい。チェインメイルの上に着ることも多かったようだ。

ブリガンダイン、ブリガンディン
 コートオブプレートの板金を更に細かくしたもの。同じように作るのが簡単で、防禦力が高く、動きやすい。かなり理想的な鎧である。更には布や革の裏に板金を貼るため、表の布や革に装飾などを施しやすくデザインに幅をもたせられる。
 というわけで見た目も派手にすることができ、着色もできるため、JRPGの主人公にはおすすめの鎧である。というか普通に冒険者におすすめである。
 ちなみにブリガンドとは兵士、雑兵の意味らしい。


 というわけで久しぶりに真面目に普通のファンタジーらしいお話をしてみた。もっともここに書いてあるようなことは大半がウィキペディアにも書いてあるので、というか参考にもしていたし、このつまらんブログも存在価値が怪しいというものである。
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